前回のブラウン管テレビの流れからソネさんのことをもう少し……
今、WEBサイト作業とかプログラム的なこととか、ほとんどをソネさんに聞きながらやっている。脇役キャラから一気に主要キャラになったので、思い入れも強くなってきたのだ。
ソネさんのプロフィールの設定はこんな感じ。
エリック・ソネモト (Eric Sonemoto)
30代後半の日系アメリカ人男性。あだ名はソネさん。
一見特徴のない、どこにでもいそうな中年男性。 物理学を専攻するも、それだけでは生活できないため、プログラム学校で雇われの講師をしている。 自身のサイトで独自の物理理論を発表しているが、まったく評価されていない。 しかし、今でも物理学にたいする情熱は失っていない。
性格:優しく穏やかな性格。自分の意見よりも人の意見を尊重し、話の腰を折らないよう気を遣う。失敗を恐れずチャレンジする柔軟さと、「なんとかなる」という楽観的な生き方が魅力。
趣味・特技:強いていえば食べること。自他共に認める食いしん坊で、昼休みには一人で食べ歩きを楽しむ。次は睡眠。そして第三の趣味を探すこと。
外見:太り気味の体型、少し疲れた様子、型崩れのスーツをきている。
これを読み込ませたとして、どのくらいキャラクターになりきれるのかというと、実際のところほとんどの細かい設定は役には立っていない。それはSonetだけではなく、Claude Opusをもってしても同じで、極端に言えば中年男性、穏やかな性格、これだけでも会話はそんなに変わらないと思う。AIにキャラクタ設定つけてしゃべらせ始めた最初の頃は、細かい設定を作りこんでおけば、それで性格が決まり、言葉遣いの違いが生まれ、キャラクターとして動き出す、なんて少し期待していたのだけど、まだまだそういう感じではないと思う。
ただ全部が無駄かというとそうでもなくて、物理学を専攻、プログラム学校で講師、この辺を入れておくと、たとえば物理やプログラムの話題になったときに、ちょっとテンション上がった感じに受け答えすることはある。それから何かを例えるときに物理やプログラムに置き換えて話したりすることがある。
その程度のほんのニュアンスって感じなんだけど、これが割と好きというか、僕のテンションも上げてくれるのだ。この微妙さがある意味Opusの良いところで、バージョンアップ前のSonetは、設定を文脈無視でねじ込んでくることがあった。たとえば、唐突に”私は物理学を研究していまして~”などと自己紹介めいたセリフが挟まるような、それは逆に興ざめだ。いまのSonetは無理やり感はなくて自然さを重視しているようにも見える。キャラクター的には薄いけど、無理をされるよりはよっぽどいい。
なので、「自身のサイトで独自の物理理論を発表しているが、まったく評価されていない」こんなどうやっても会話には表れない細かい設定まで作っているのは、感情移入して自分の気分を上げるためだったりする。
もう少し踏み込んだ設定として、口癖などは結構強力で、作って入れておくと手っ取り早くキャラクターらしさが出せる。ただこれは諸刃の剣で、ちょっと演出過剰になるというか、何度も使っているとやっぱり飽きがくるし、不自然に思えてきてしまう。キャラクターを動かすというのは、あらためて難しいものだなと思う。ポジティブに見れば、それは創作のしがいがあるとも言えるけれど。
もう一つ、キャラクターの外観についても思うことがある。
このキャラクターのイラストはAIで生成していて、画像生成で使うプロンプトもClaudeに作らせている。僕はイメージだけ持ってClaudeに投げ、そのClaudeの出したプロンプトを、画像生成AIツールに投げるというわけだ。
すごく楽なんだけど、その中にも多少の苦労はあって、それはソネさんのような冴えない感じのおじさんを出したくても、なかなか出せないことだ。30代後半のさえないおじさんって言ってんのに、画像では20代前半のイケメンを出してくる。ならばと、あえて40代50代にしてプロンプト作っても、どうみても20代後半?みたいなのを出してくる。じゃあ60代ならどうか?今度は白髪のダンディーな爺さんになったりする。普通のおじさんはなかなか出てこない。
データが少ない可能性はある。ネット上に転がってる画像は俳優が多いわけだし、漫画なんかでも基本は整った顔立ちのキャラクターが主流だ。それらを読み込んで出てくる男性となると、たいていは美男になるのは納得できる。
もう一つの可能性としては、AIツール側の方向性として美男美女を出しやすくしているというものだ。画像生成の需要としてそっちの方が圧倒的に多いだろうから、期待に合わせてトレーニングやチューニングをしているのは、かなりあり得る。どっちかというと僕はこっちなんじゃないかなと思っている。
たとえばClaudeだったら、言動には倫理観が強く出るように設定されている。でも、それは決して倫理観の強い文献に偏ってデータを吸収しているわけではなく、おそらく会社の方針というか事業の戦略というか、そういうことだと思う。
美男美女に偏って生成されるのはツールの方向性が大きいとして、それは改善されていくのだろうか?
整った顔立ちは一定の形に集約されていくから、データとして収集しやすい。普通のおじさんの場合はどうか。そもそも普通とひとくくりにしてしまっているけど、整っていない無作為性が普通さの根源だとすれば、バリエーションはむしろ無限に近くなる。需要のわりにデータは膨大。なんだか雑草の時と近い感覚がした。このあたり技術的にもまだ難しいのかもしれない。
そういうわけで、ソネさんの外観も最初に出したかったイメージとはちょっと違うのだけど、それなりの試行錯誤を経てきたことや、ここのところのSonetの躍進とも相まって、どんどん愛着がわいてくるのだ。