落ちている枝を拾って、さてどうしようかと考えていた前回の続き。ナナフシを作ろうと、ひらめいたところ。
ナナフシは枝や茎に擬態して、鳥などの捕獲者から逃れる。ナナフシが枝にそっくりということは、つまり枝からナナフシを作っても、そっくりになるんじゃないかと思いついた。
枝そっくりとはわかっていても、作ろうとは思っていなかったので、細部がどのくらい似ているのだろうか。ここであらためて、見比べることにした。
初代ナナフシ
ここにきて、ナナフシの亡骸が役に立つことになる。
初めて飼ったナナフシはとても思い出があったので、ずっと取っておいたのだ。ただもう3年位前のやつで、保管の仕方も知らず、足もいくつかなくなってしまったけど(生前から足りなかった分もある)、取っておいてよかった!
実は二代目のほうが、数も15匹に増えて、状態も良く、緑色の亡骸もあったのだが、今年に入ってほぼ全部植木鉢に撒いてしまった。数が多い分かさばるし、ホコリ被るし、ごちゃごちゃにしておくよりは土に返した方が良いと思った。その分、初代のナナフシをケースに入れて大事に残すことにしたのだった(これは万年筆のケースを加工したもの)。二代目も取っておけば、さらに細部の研究に使えたので、ちょっと残念。
でも、初代のナナフシがここで輝きを取り戻したことを思うと、喜びのほうがはるかに大きい。いや、ほんとにうれしい。
枝と比べる
並べて置くと、かなりそっくりだと再確認できる。とくに節の作りや、間隔。それにお尻の部分なんかは、ささくれが偶然とはいえ、このままうまく使えそうだ。
作業開始
まずは長さをそろえる。枝が細いので、普段のノコは使えない。ピラニアという細工用のノコギリの出番だ。たぶん刃の細かさがピラニアの歯を思わせるということでこんな名前なのだろう。
切った後は、やすりをかけていく。不要な節や凹凸をとって、もう一度、初代ナナフシと見比べると、これだけでかなりのクオリティに見える。
これはもう、枝とナナフシの作者は一緒だと思わざるを得ない。あるいは枝の設計図の流用でナナフシを作ったとか。
足を作る
ここも枝を使う手もあるのだが、かなり細くなるので、強度の点から針金を選ぶ。
また、木と金属の素材の違いが、創作としての面白味にもなる。
足を用意したら、節に穴をあける作業だ。枝が細いから、まず別の枝で試しに開けてみる。ギリギリ割れずに行けそうだ。本番も慎重にドリルを当てて、うまく開けることができた。
足を通してみて気が付く。両サイドの足を、一つの穴にいれると深さが足りず、固定ができないと。すると、一つの節に穴を二つ開けるか、足を一本の針金で作るかのどちらかになりそうだ。
枝はかなり細く、これ以上同じ位置に穴は増やせそうにない。ならば、足を作り直すことにした。足が入るとグッと生き物らしさが出てきた。
頭と腕を作る
すでに枝の先っぽが頭のようになっているので、そのままでいいかなと思っていたのだけど、前足を通すことを考えると、若干小さい。どこに穴をあけるべきか、もう一度初代ナナフシをお手本にする。
裏返してみると、節の上にもう一つ頭が乗っかているような作りだ。なるほど、じゃあこっちも作ろう。
枝の節の部分を切り、それを頭にする。そのままだと固定ができないので、両方に穴をあけ、中に芯として針金を入れる。これで頭の完成だ。
節に穴をあけ、あとは足を通すだけとなった。
地面に落ちてきた巨神兵のようにも見える。
足を通す
前足、中足、後ろ足、すべて通していく。
思いのほか、立体感が出てかなりいい出来になった!
ここからいくつか細工のアイデアがあるのだけど、足が固定するまでしばらく時間がかかるので、いったんはここで完成とする。
3代目ナナフシ
今飼っているのは、初代の孫にあたる三代目のナナフシ。食べ物はアカメガシワをあげている。
三代目はこの一匹のみで、大事に育てている。卵は産んでくれたので、うまく孵して、来年はまた十匹くらいの大所帯にしたい。
こいつは早く生まれてるので、冬まで持たないかもしれない。そうなるとちょっとさびしい。