「今度こそヒナゲシを育ててみたい」そんな思いから始まった種取りの記録。河原での種の採取から、理想の時期を待った秋まき。新たな挑戦の始まりをお伝えします。


去年の春頃、飯能の河原でヒナゲシの種を取りに行った時のことを書こうと思う。写真を整理していたら、ふとその時のことを思い出したから。去年といっても、つい最近のように感じられて、もう1年が経とうとしているのが不思議なほどだ。
ヒナゲシ
ヒナゲシは大好きな花の一つだ。毎年4月5月になると、道端に咲き誇るヒナゲシを見かけては「ああ、やっぱりヒナゲシ好きだなあ」としみじみ感じる。栽培種の派手なポピーではなく、あの道路わきや空き地に生えてるヒナゲシ。赤とも、ピンクとも言い切れない、独特の色合いに惹かれる。
谷中に住んでいた頃、一度育ててみようと思ったことがある。ヒナゲシを含め、様々な雑草の種を集めて、小さな缶で実験的に育ててみようと試みた。でも、思うようにはいかなかった。何より缶が小さすぎたのだ。小さい缶に植えたら、雑草も可愛く見えるだろうと思って試したのだけれど、あまり育たなかった。土が少なかったのかもしれない。※ブログ再掲しました。「雑草の種を蒔く」
雑草について調べているうちに、意外にも制御が難しいことを知った。土の中には無数の種が眠っていて、その時々の環境に最も適したものだけが顔を出すのだという。空き地に必ず何かが生えているから生命力が強いように見えるけれど、実は場所に合った草だけが生き残っているということなのだろう。
そんな経験があって、次は観葉植物用のポットくらいはちゃんと用意しようと考えていた。
河原に種を取りに行く
2024年の春のこと。偶然通りかかった河原で、ヒナゲシの群生に出会った。いつものように「ああ、やっぱ良いなあ」と思いながら、今度こそ育ててみようという気持ちが湧いてきた。今はポットもあるし、うまくいくかもしれない。
ただ、花が美しく咲いているうちは種を取ることができない。一ヶ月ほど時間を置いてから、また来なければならない。これが意外と難しくて、つい忘れてしまいがちなのだ。
今回は本気でヒナゲシを育てようと決めていたので、しっかりと種を取りに戻った。とはいえ、花を見てから2週間ほどしか経っていなかったため、種ができているか少し不安だった。
案の定、完全に種になっているものは少なく、探すのにかなり苦労した。さっと取って帰るつもりが、川辺を歩き回り、草むらをかき分けることになった。そうしてようやく、種になりかけのものを見つけることができた。
ヒナゲシの茎を切ると白い液が出る。漆に似た質感で、手に付くとわずかにかぶれるような感覚がある。これに注意しながら、持参したハサミで切り取り、切り口を下に向けて封筒に入れた。
種まきの時期
持ち帰った時は、すぐにでも種を蒔きたい気持ちでいっぱいになったけれど、まだ早かった。翌年の春に咲かせるなら、秋頃に蒔くのが良さそうだ。
ただ、考えてみると、自然のヒナゲシはこの時期に種をこぼすわけだから、今蒔いても良いのかもしれない。この点については正直よくわからない。けれど、今蒔いて秋に芽が出てしまっても困るので、やはり秋口まで待つことにした。

10月にヒナゲシの種を蒔く

そうして10月になり、タイミングが良さそうだと判断。ポットと土を用意して、種まきをした。今、写真を整理していたらその時の様子が写った写真が何枚か出てきた。房ごと立てているのは目印のため。ヒナゲシの種は、この房からこぼれる細かい黒い粒だ。
ちゃんとしたポットを用意したとはいえ、やっぱりドクターペッパーの缶でも育ててみようとしている自分がいて、何年経っても変わらない自分の性格に思わず笑ってしまう。
2月現在、まだ芽は出ていないけれど、ヒナゲシは4月頃に咲く花なので、もうすぐ最初の葉っぱが顔を出してくる頃かもしれない。これからの成長が本当に楽しみだ。
それから、ついでに麦らしきものも蒔いてみた。こちらも育つのだろうか。
つづく

