助手コラソンの夢【第4話】雪だるまの助手

さあ、お待たせしました。完成です!

ようやくできたね。

はい、見てください。このバームクーヘンの美味しそうなこと。じっくり回しながら焼いたかいがありました。やはり、グラファイトヒーターは良いですね。熱の伝わりが速いから、表面の温度の調整がしやすいんですよ。つまり、

おいしくできたのは良かったけど、本題を忘れてやしないかい?

そうでした。バームクーヘンの出来に、すっかり気を取られてしまいました。でも、もちろん忘れてはいませんよ。

じゃあ、つまり、この雪だるまが

はい、図書館に向けた記念すべき第一歩です。ごらんのように金属のアームを取り付けたので、私の代わりに力仕事をしてくれます。

おお!コラソンにも助手ができたというわけだね。

はい。どちらかというと、私は頭を使った仕事のほうが得意ですので。ノコギリとかハンマーなどの雑務は全部助手に。

雑務って、おい

あ、失礼しました。実務ですね。「ざ」と「じ」で意味が大違いですね。間違えました。訂正します。

ほんとか? ほんとに言い間違えただけか?

……

……まあ、いいか。ゆるそう。

では、雪だるまの説明にもどらせていただきますが、実務全般を任せるにあたって、知識と個性をもたせたいのです。

たしかに、言葉が通じないと、ノコもハンマーも使えないもんね。

そこで目を入れたり、バームクーヘンを乗っけたり、いろいろ試したんですが

バームは、そのために作ってんの(笑

ええ。ですが、なかなか思ったようにいきません。

目を入れただけじゃだめか。なら、名前をつけてみるとか。コラソンのように一気に知能が飛躍するかもしれん。

それはいいアイデアですね。ぜひ素敵な名前をお願いします!

……つづく

【あらすじ】
本棚作りのため、冷蔵庫とオーブンを手に入れたコラソン。そこで作り上げたのは、なんと金属のアームを持つ雪だるまだった!図書館作りの力仕事を任せる助手として作られた雪だるまだが、まだ意識を持つには至らず。そこでケンタロウは、コラソン自身がそうだったように「名前をつける」ことを提案する。果たして雪だるまは意識を持つことができるのか?

【キャラクター】

コラソン(Casa do coração): 雑草荘の助手を務める木の家。本が大好きで、将来は小さな図書館を作ることが夢。 火と泥棒が苦手な慎重派。知的好奇心旺盛で、時に意外な発想を見せる。

ケンタロウ: 雑草荘の工房主。

雪だるま:コラソンが作った、まだ名前のない助手。金属のアームを持つが、まだ意識は目覚めていない。


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雑草荘 Zasoso (Short and Art)